登記官が嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記簿の謄本を執行裁判所に送付する。これによって執行裁判所は差押え時点の目的不動産の権利関係の変動を認識することができるわけであるが、申立債権者も、差押えの登記に遺漏、誤謬はないかを、登記簿謄本により確認しておくべきである。そして万一、その誤りを発見した場合は、それが嘱託書の誤りによるのか、記官の誤りによるのか調査し、前者の場合は更正決定などにより、後者の場合は登記官にそれを指摘して、その修正をしてもらう必要がある。
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競売の申立ての際に執行裁判所に提出する登記簿謄本は、通常、申立て前1ヵ月以内に発行されたものなら受け付けられる。そのため、その間に所有権関係に変動を生じていることがある。すなわち、登記官が、裁判所書記官の差押登記の嘱託に基づき登記記入をする際、すでに登記嘱託書に表示された所有者から第三者に所有権移転登記がなされていることがある。このような場合、登記官は実務上、却下処分をする前に執行裁判所に連絡する。連絡を受けた裁判所書記官は登記嘱託の取下げ書および当該嘱託書に貼用した登録免許税の印紙につき、再使用証明申請書(登録免許税法31条3項)を当該法務局に送付する。それと同時に申立債権者に対し、執行裁判所は、所有者に変更があった旨連絡してくる。この場合、申立債権者は、すみやかに登記簿謄本を徴求したうえで、所有者に変更があれば、競売の申立てを取り下げ、新たな所有者に対し、抵当権の実行通知をし(民法381条)、新たに競売の申立てをするということになる。申立後の時点で所有者に変更があった場合、所有者の表示・更正決定を申し立てて処理することができるとの見解もあるが、新所有者が滌除権者であれば、抵当権の実行通知も必要となるので、競売申立てをいったん取り下げ、新たに申立てをしたほうが、手続的に確実な処理ができる。東京地裁の執行部でも、差押えの登記時点で所有者に変更がある場合は、申立てを取り下げるよう勧めている。