日本の家庭の食器は、種類だけではなく個別の数においても、欧米の家庭より多そうである。と言うのは、日本の家庭の食卓は諸外国に比べてはるかに賑やかだからだ。賑やか、というのは必ずしも豪華な料理を意味するわけではないが、皿数だけはかなり多い。とくに酒飲みの方の家の夕食には、チョコッとした酒のつまみのために小皿がたくさん並ぶに違いない。つまり、小皿という1品目をとっても、その家族1人当たりの数が多くなるのだ。
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その酒飲みの類に属するぼくの家では、たとえば昨夜なども、カマンベールと雲丹(といっても瓶詰だが)とエンダイブの芥子あえサラダと割干大根の煮つけでビールを飲み、それからワインに切り替えて、たまたま手に入った三田屋のハムを卓上電気フライパンでハムステーキにし、その脂でスパゲッティをいため、最後は味噌汁とお新香とご飯でしめくくった。こういうふうに和洋入り混じった食事をすると、別に手のかかった料理はないにしろ、そこに使われる食器の数は、たとえばホテルの洋食のフルコースよりも多くなりがちだ。さらに中華に進出して、ラーメンはたとえ肉の万世のパック入りにしても、竜の模様のついた中華風丼で食べたい、と思うと、日本の家庭に備えられるべき食器の種類と数が際限なく増えてくるのは自然の成行きなのだ。一方、日本の住宅は平均的に欧米各国に比べてかなり狭い。その狭い家に沢山の生活財があればなおさら狭くなるので、最近では「まだ使える物を捨てるのは悪」という古来の道徳感をあえて排しても、家の中の物を処分して減らすべきだという考え方が有力になってきた。